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健全な少年児童に与えるモンじゃねー……。長年此処にいるせいで、一般家庭の常識を忘れてしまいそうになる。
あれ、常識って何だっけ。
…………。
まあ、その話は置いといて。
とにかく、創造属性についてある程度は解した。物質の創造。それが、創造属性の特質。
後は実践積んで、体で覚えていくしかない訳だけども。
「……?」
何度魔力を練っても、魔法は発動しない。成功したのは、最初のたった一発。
初めに創ったチュッパチャプスが、俺の口端に咥えられている。
がりごりと乱暴に飴を噛み砕きながら、何の気なしに首まわりを揉んだ。心なしか気疲れしている。
「あ」
そういえば魔力を消費すると、精神も磨耗するらしい。魔力が少なくなると、当然気疲れする。
それが原因に当てはまるのなら、魔法が使えないのは単純にコスト不足。魔力切れ、という事になる。
たかが創造魔法の一発で。魔力切れ。
創造魔法の魔力消費量が多過ぎるのか、それとも俺自身、消耗が激しい体質なのか。
本の知識を記憶から引っ張り出したところ、当てはまるのはどうも後者のようだ。
創造魔法も確かに消費が著しいが、今の俺の魔力量でも、一般的に二発はかろうじて放てる程度。
魔力消費が激しい質ってのは、中々に厄介なハンデだ。折角の希少属性を活用できない。
ひとまず訓練場の壁に凭れかかって、休憩をとる。
場内は、汗と血と建材の入り混じった、訓練場独特の臭いが立ち込めている。
板張りの床が鳴り、気合がほとばしる。
下っ端二十名が竹刀で打ち合いしている所を、ぼんやり眺めた。
むさ苦しいな、相変わらず。
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