5人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ちょうど3年前、この場所だ。
午前2時。
暗く細い、忘れ去られたような道路に、昭和に作られたような古く薄暗い街灯が、道端に置かれた花を寂しく照らしている。
今日は命日だから、アイツの関係者が置いたのか?
あれはまったくの偶然だった。
そう、偶然が重なった不運な出来事だったんだ。
こんな誰もいない、滅多に人のいない寂れた道路で、この街灯の下に、アイツは立っていた。
街灯の灯りに照らされて、アイツは無遠慮にこちらを見ていた。
「おいコラ、何見てんだ!」
俺は頭にきてそう言ってやった。
「は?見てねーよ。どこ見ようが俺の勝手だろ」
アイツは生意気にも言い返してきやがった。
「ああ!?舐めてんのかテメー!」
喧嘩を売るような事を言われたら、誰だってムカつくのは当然だろう?
しかしアイツは謝るどころか、大股に歩み寄り、グイっと顔を近づけてこう言った。
「舐めてねーよ。見てんだよ」
俺はキレて殴ってやった。
アイツはその勢いで倒れ、後頭部をアスファルトにぶつけて死んだ。
地面に広がる赤黒い液体を見て、これはヤバいと思った。
周りは誰もいない。
誰も見ていない。
俺は急いでその場を立ち去った。
それから三年、事件は迷宮入りで、警察が俺の所へ来る事はなかった。
こんな所に立っていなければ、生意気な事を言わなければ、すぐに謝れば、こんな事にはならなかったのに。
花を蹴飛ばしてやろうかと思ったが、さすがに思い止まった。
「くそっ。あの時、俺の事を見ていなけりゃ…」
ピリリッ!
突然鳴ったメール音にビクッと肩を揺らす。
「なんだよ…」
周りの静けさで、余計に大きく神経に響いた。
ケータイを見ると、何故かアドレスが表示されていない。
メールを開くと、こう書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!