第1話 出会い

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「はぁ………」 少し開いたカーテンの隙間から覗く日の光が部屋に入り込んだ頃、俺―――後鳥羽 零於は重い瞼を薄らと開く。 目線を自室の時計へ移した途端、大きく見開いた。 「学校………!………はぁ」 そう言って急いで布団から出たのはいいが、めんどくさくなってしまった俺。 確かに今日から新しく高校生活が始まるが、期待してもなかった。 「どうせ楽しくねぇだろ。………彼奴ら居ないし」 学校に行きたくない理由はもう一つあった。 俺は小さい時から喧嘩が強く、幼稚園児の時には餓鬼大将とも言われていた。 そんな餓鬼大将の俺には友達が居らず、友達が沢山いる子を殴ったり叩いたりしていたのだ。 そんな時、ある双子の兄弟と友達になった。 藤堂 春斗と琉夏。 その双子は俺を怖がらず、いつも俺の傍に居てくれたのだ。 だけど、小学校を卒業して藤堂兄弟は引っ越してしまったのだ。 それからまた、俺に友達が誰一人出来ず、再び不良となってしまった。 「………連絡ぐらいしろよな」 愚痴を言い乍、俺は制服を手に取り着替え始める。 「うわ、凄い。見てよ、琉夏」 「何だよ。お前さ、サボってないで仕事しろよ」 「いいから見てよ、此れ」 生徒会室の椅子をクルクル回し乍椅子に座っていた藤堂 琉夏に資料を渡す兄の春斗。 「………は?」 春斗が見ていた資料は新しく入ってきた1年生の入部届や、プロフィールだった。 「れ~ちゃんだよね。可愛くなってるかな」 「入学式の時居たか?」 「気付かなかったって事は居なかったんだよ。普通居たら気付くでしょ」 「まぁな。で、嬉しそうな顔してんな」 「勿論だよ~。琉夏だって嬉しそうだよ?」 「うるせぇな」 嬉しそうに資料を読んでいる琉夏を見て、春斗はグラウンドに目線を逸らした。
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