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「あ~面倒くさい」
俺は行きたくないと言い乍も準備をして、家を出た。
口内には大好きなペロペロキャンディ。
よく春斗が食べさせてくれ、大好物になった。
その中でもショートケーキ味が大好きで、今も食べている。
「!?」
家の門を出た途端、走ってきた誰かとぶつかってしまい、ペロペロキャンディを落としてしまった。
「御免なさい!」
俺は舌打ちをし、ぶつかってきて尻餅を付いている奴を見下げてみた。
ぶつかった奴は女で、俺の顔が見れないのか顔を下げている。
「………大丈夫かよ」
「すみません………」
ぶつかった女が顔を見上げると、俺は胸の奥が熱くなるのが分かった。
おさげでメガネっ子。
胸は大きくて背は低い。
その女に見とれていると、女は落ちた鞄を拾い上げて走って行ってしまったのだ。
「………なんだよ、この気持ち」
俺は自分の顔が赤いのが分かり、頬を叩いた。
「さっきの奴同じ制服だったな」
ぼーっとし乍近くの公園へ足を運ぶ俺。
季節は春。
そして4月。
桜が満開でいい場所だ。
「綺麗だな」
「うわぁ!可愛い!」
ふとベンチの方から声が聞こえ、此の公園に居たのは俺だけじゃないんだと思い乍振り返ってみる。
「?」
振り返ってみるが誰も居ない。
だけど下半身に誰かに抱きしめられている感覚はある。
少し戸惑うが俺は思い切って目線を落としてみた。
「え?」
俺の下半身に抱きついていたのは俺と同じ制服を着た小さな子供だった。
鞄には大きなピンクのクマの人形がぶら下がっている。
「あの?」
「あ、御免なさい」
俺が声をかけると、小柄な子が俺を見上げた。
綺麗な緑色の瞳。
「僕と同じ制服ですね!」
「そうだな」
「僕、三日月学園の生徒なんです。貴方もですか?」
「うん。今日から1年」
「うわぁ!1年生だったんですか!」
「え?君も1年生じゃないの?」
「違いますよ~。小さいですけど2年生です!」
「先輩………」
「あの!何部に入るんですか?クラスは?」
小さな先輩は綺麗な瞳をキラキラさせ、俺に近づいてくる。
「あの、俺今日初めて学校行くんすよ。クラスしらねぇですし、部活は入るつもりないっす」
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