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「生徒会なんて入らないっすよ」
俺は名も知らない先輩に話をしている。
「だってだって君凄くかっこいいじゃないですか!でも、春斗先輩と琉夏先輩と五月蠅いからなぁ~」
俺は一瞬、耳を疑った。
春斗と琉夏。
「え、春斗先輩と琉夏先輩?」
「知ってるんですか?」
「苗字は?」
「藤堂ですよ?」
「………春斗と琉夏」
紛れもなく俺の幼なじみだ。
俺の考えが正しければ俺と同じ学校。
それだけ聞いて俺は無性に二人に会いに行きたくなったのだ。
「先輩、一つ聞いてもいいっすか?」
「なんですか?あ、僕の名前ですか?僕は、湊 嶺樹です!」
「あ、いや学校まで連れて行って欲しいんすよ」
「わっかりました!」
聞いても無いのに勝手に名乗った先輩―――湊 嶺樹先輩は嬉しそうに公園を出て行ってしまった。
「ん~。やっぱり居ないか~」
「そうだな」
その頃春斗と琉夏は俺が居るはずの1年B組の教室で俺を探しに来ていた。
クラスの女子に聞いてみたり、教室の中を探してみたり。
もちろん俺はまだ居ない。
「来ないのかな」
「さぁな。そろそろ授業始まるぞ」
「え~。れ~ちゃんに会いたいよ~」
春斗はポケットからペロペロキャンデイを取出し、口内へ放り込む。
先に教室へ帰るのを確認した琉夏は1年B組の教室へ入り、俺の教室の机にペロぺるキャンディを置いて出て行った。
「くそ………。3年の教室って何処だよ」
俺はあれから嶺樹先輩に学校に連れて行ってもらい、春斗と琉夏が自分の教室へ帰った頃、俺は春斗と琉夏の教室を探していたのだ。
「居ない………」
「勝手に動かないでくださいよ~。教室はあっちですって」
「あの、先輩。お願いがもう一つあるんすけど」
「その前に!僕名前教えたんですから君の名前も教えてくださいよ!」
「………後鳥羽 零於です」
勝手に名乗ったのはそっちだろうと思い乍、俺は一応名を名乗った。
「零於くんですね。で、お願いとは?」
「俺の教室を教えて欲しいっす」
「着いてきてください!」
嶺樹先輩は楽しそうに1階へ降りて行った。
俺は急いで嶺樹先輩を追いかける。
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