終わりへの始まり

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 人も鳥も野良犬も、全てが静まり返った午前3時15分。  僕は白い息を吐きつつ、自転車のペダルを一心不乱に漕いでいた。  カゴの中にはビニールに包まれた今日の朝刊。これを日の出前にご近所中に配るのが僕の仕事だ。  辛くないと言えば嘘になる。でもこれを毎日こなさないと、学校に通えない。学校に通えなければ、卒業もできないし、いい会社に就職もできない。両親に楽をさせてあげる事もできない。  だから僕は、今日も黙々と新聞を配る。
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