終わりへの始まり

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 明かりが眩しい自動販売機の前を通り過ぎた後、何となくブレーキをかけ自転車を止めた。  そして後方を確認しながら足で地面を蹴りバックしていく。  別に喉が渇いたから引き返したわけじゃない。何やら黒い物体が地面に落ちていたのを目にしたからだ。  僕は自転車に跨がったまま視線を落とし、その物体を確認した。  初めは何かの部品かと思ったが、更に自転車を傾け身を乗り出しよくよく見ると、何か分かった。  二つ折りの、黒い携帯電話だった。
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