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この間、家にハムスターが来た。
名前は、在り来たりに『ハム』。
何故こんな安直な名前をつけたのかと云うと、
勿論ハムスターだからということもある。
けれど、この名前をつけたのには、別の理由がある。
コイツは、ハムスターが大好きで、もう十六匹は飼っている友人から貰ってくれないか、と頼まれたので譲り受けたのだが、その時友人が見せてくれた段ボールの中の五、六匹の中で、一番おデブだったからだ。
どれぐらいおデブだったかと云うと、〈それはもう、ハムのように〉だ。
新聞紙を敷いた平たい段ボールの中でおチビハムスターがうじゃうじゃする中に、一匹だけマルマルしたのが黙々とヒマワリの種を食べ続けている姿は、相当異様だった。
友人曰く、
「ああ、そのおデブ?
他の子は皆貰ってくれるって人いるんだけどね、その子だけ何故かいつも売れ残っちゃうんだよね。
だからあたしが飼おうと思ってるんだけど、なんでかな~。」
恐らく、このおデブが原因だろう。
けれど、ハムスターは太ってる方が可愛い、と云うのがわたしの持論だ。
「このハムスター、貰っていいかな。」
「そ?毎度あり~。」
そう言って、友人がその子のマルマルとしたお餅のような体を抱きあげたとたん、
びょよん!
すたっ!
突然、おデブが友人の手から飛び降り、
すたたたたたたたたたたた!!
物凄い早さで床を走り回り始めた。
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