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重苦しい空気が三人を囲んでる。なんとかしたいのにいざ動こうとするとどうしたらいいのかわからない。
はあ、と深く重たいため息をつく。
( 俺ため息ばっかついてんなあ~、ナズナもトーマも何考えてんのかわかんねーよ。)
部屋にいるのが息苦しくなって外に出ようと部屋から出る。
その時ナズナが廊下の奥から歩いてきた。
(・・・・ナズナだ。)
暗くて表情までは見えなかったけど、ナズナはぼーっとしながら歩いていた。
ここは話してみるべきなんだろうかと、思い切ってナズナのところに歩み寄ろうとした時だった。
(ーーーーっ!!!!!!)
トーマがナズナの腕を引っ張り外に連れて行く。
話し声はよく聞こえなかったけど、少しもめているそんな空気だった。
俺は唖然とし立ち尽くす。
(・・・・えっと、これは・・・・)
いてもたっても居られなくて気を引き締めてこっそり二人の後を追う。
これで何かが解決するのならいいのかもしれない。ただ ーーーーその場には俺はいていいのかわからないけど
( ーーーーーーーっ、)
また胸が痛くなる。俺が知らない二人の世界があると思うと痛くてしょうがない。
( でもいまは確かめないと気が済まないんだっつーの!)
俺は二人の後を追い始めた。
二人に見つからないように慎重に後を追う。
歩くに連れ見たことのある庭にたどり着く。
俺は二人から見えないように壁に息を殺し隠れる。
二人は向かい合って立っていた。
(ここからならまあまあ聞こえるかな・・・・・それより、ほんとにどうなってんの!)
モヤモヤしながらとりあえず二人を見守る。
やっぱり見守る役としてしか遠くから介入できないといううのが苦しい。
再びため息をつきそうになった時、
「トーマ、腕痛い。離して・・・・・・」
ナズナの声が聞こえて俺は顔を上げて再び二人に視線を向ける。
「あっ、・・・・ごめん。強く掴みすぎた・・・・ごめん。」
「「・・・・・・・」」
(・・・・なんだこのムズムズするような感覚は・・・・・)
ナズナもトーマもお互いに顔を見ようとせず、ただ、視線を下に向けてソワソワしている。
何分間か無言が続き、トーマがやっと口を開く。
「ナズナにずっと、話したいことがあったんだ・・・」
「!! 私はトーマにない。だから・・・・」
部屋に戻ろうと歩き出すナズナ。
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