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「……っのクズ野郎が! 借りた金ぜんぶギャンブルにつぎ込んでんだろ」
罵声とともに固い革靴で鳩尾を蹴り上げられて、さっき王将で食べたばかりの天津飯が逆流しそうになった。立っていられなくてその場にへたりこむ。
俺を蹴った男の隣にいたキツネ目の男が優しい口調で言った。
「宇佐美(うさみ)君はお金を数社から借り、利子を払うため他所で借りては他所に返し、絶賛自転車操業中。大変だったねえ」
払っても払っても減らない借金。イライラして打ちに行く。負の無限ループ。
「でもそんなのは今日で終わりだ。君の借金はうちの会社がまとめて買い取ったんだ。総額だいたい700万円。よかったね」
ひと気の無い路地。後ろはコンクリートの壁。右も壁。左も壁。パチンコ屋から出たところをいきなり捕まえられて引きずり込まれた。
俺の前には今にもスーツのボタンがはち切れそうな筋肉デブ。その隣にはいかにも金回りが良さそうなキツネ目のノッポ。借金取りというよりインテリヤクザみたいな風貌だ。口調は怖いが纏う雰囲気は品が良く、背筋がしゃんと伸びている。
俺の腹を蹴り上げた筋肉デブの男がしゃがんで俺の前髪を鷲掴みにして無理やり顔を上げさせた。ブチっと嫌な音がした。
「痛い痛い痛い! 髪、抜けます! 抜けます!」
「パツキン君。ハタチで700万なんて、ずいぶん遊んだなあ。綺麗な顔で助かったな。頑張ったら2年で完済も夢じゃないぜ。いい店紹介してやるよ」
「店……ですか?」
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