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キツネ目の男がにぃっと笑って優しい口調で言った。
「簡単なお仕事だよ。完済するころにはケツの穴が締まらなくなってるかもしれないけどね」
ゾッとしてキュッと尻が縮んだ。カタカタと体が震える。出来るだけ声が震えないように気をつけながら俺は言った。
「それは……勘弁してください」
こんな絶体絶命の時でも俺の“能力”は役に立たない。いったいなんのためにこんな奇妙な力を持って産まれたんだ。
もしそんなんじゃなければ親にも捨てられなかったかもしれないのに。ペットショップをクビになることもなかったのに。学校で気持ち悪がられることもなかったかもしれないのに。
涼しい顔で俺を高みから見下ろすキツネ目の男は、語尾にハートマークがつきそうな口調で言った。
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