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「不用意に風紀を乱す発言は禁止しまーす。この店は“恋愛禁止”なの」
そう。恋愛禁止。
「うへー。なんでわざわざそんなルールを?」
宇佐美はそう言いながら一味塗れのお好み焼きをパクリといって、「ウグッ」ともがいた。慌てて自分の水を飲み干した。
宇佐美の分よりさらに大量に自分のお好み焼きに一味をかけた蛇沼さんが言った。
「みんなが平穏にいるためだよ」
「でも――…」
言い返そうとした宇佐美をあたしは遮った。
「うるっさいなー! 禁止されてなくてもあんたに落とせるレベルの女はここにはいないから! 黙って食べな!」
宇佐美がショボンとして黙った。でも仕方がない。この話題になると蛇沼さんはピリピリする。自然と話題が変わって、蛇沼さんのまとうピンと張り詰めた空気が和らいだ。
恋愛禁止。破ったらもうここには来られない。会員たちも、たとえあたしでも。
唯一の抜け穴が“ピース”。全150個。スケルトンジグソーパズルのデコボコのピース。ピースを全て集めたらどんな願いも叶えられる。
――…そうだ。宇佐美にここの店で行われてる《ゲーム》のこと教えてやんないと。
ピースを取り合うゲームのこと。
【初恋蜥蜴・了】
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