第4話 世界

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オレはてっきり、二階の小会議室が会場だと思っていた。 だが、梅田さんは、つかつかとメイン屋内プールへと歩いていく。 行き先が間違ってない? なんて思いながら後をついていく。 肩にモゾモゾと動くトートバッグを担いで。 「じゃあ、行くよ」 梅田さんが重い扉を開ける。 会場内は、すごい人いきれで充満していた。 プールを取り囲むように、いくつものグループが各所に陣取っている。 アルミシートに覆われた四角い箱が方々に置かれ、中からは聞いたこともないうめき声が聞こえている。 さらに、二階の観覧席にはたくさんの人々で埋まっていた。 オレは、史上最高にドン引きした。 ここには数百人の人々が、ラバナスを見に集まっていた。 化け物同士の食い合いを、今かいまかと待ちわびていた。 悪趣味きわまりない連中がこんなにもいるんだ。 オッサンがオレに微笑む。 「ラバナスの世界へ、ようこそ!」 〈 つづく 〉
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