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「アンリーシュって、何なの? そういえば、万代島で梅田さんも言ってたよね?」
オレは、隣で目を皿にしている梅田さんに尋ねる。
オッサンは、面倒く臭そうにだけど、ちゃんと答えてくれた。
「『アンリーシュ』っていうのは、『Unleashed from cage.』の略だ。檻から解き放てって意味だよ。試合開始の号令みたいなもんさ。ほら、くるぞ」
西側のケージから出てきたのは、イヌの化け物だった。
全高七十センチほど、ドーベルマンみたいに黒光りした毛艶。
ただし、顔はサル。
一方、東側のケージから現れたのは、六十センチくらいの仔ウシ。
独特の、白黒ブチ模様。
だが、このウシは、四つ足が異様に短い。
その短さはダックスフンドなみ。
腹を地面にこすらせるような、よちよち歩き。
二頭はそれぞれのケージの周りで、ウロウロ落ち着かない様子だ。
ブリーダーたちから「アンリーシュ!」と声がかけられる。
観客の中からも「アンリーシュ!」と聞こえてくる。
すると、どうだろう。
フラフラとさまよっていた二頭の視線がからみあう。
イヌとウシ、お互いの存在を確認したとたん、それぞれが猛烈な勢いで走り出した。
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