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目の前の残酷ショーに大興奮中だ。
周りを見渡せば、他のラバナスのブリーダーたちも二階席の観客も、アイドルのコンサートでも見ているかのように、微笑んでいた。
本当に、気持ち悪い人々だ。
「何なんだ、この大会は・・・。プールは、こんなことをするための場所じゃないぜ」
オレはここにいる全員を皮肉ったつもりだった。
だがオッサンには、質問に聞こえたのだろう。
丁寧に答えてくれる。
「プールは後片付けが楽なんだよ。すべてを洗い流せるから」
仔ウシがドーベルマンの頭以外を食べ終わると、ケージの中に戻された。
二つのケージがプールから運び出される。
ひとつは空っぽだけど。
入れ替わりで、また新たなケージが二つ運び込まれてくる。
その入れ替え時間を利用して、プールの中央に水が撒かれた。
排水溝に赤い液体が流れ込んでいく。
係員は手際よく、ドライワイパーで水を掻いた。
後片付けが楽って、こういうことか。
その妙な合理性が、オレの背筋を寒くする。
こいつら、本気で化け物の食い合いを楽しんでいるんだ。
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