第5話 許可

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さて、おまえともお別れだ。 いろいろ散々な目にあわされたけれど、一切を水に流してやる。 まあ、おまえらしく成仏してくれよ。 「試合規定を見ておくかい?」 オッサンに差し出された薄っぺらの小冊子。 そんなものは必要ない。 早く食われて終わりにしてほしい。 パラパラとめくって、読むフリだけはした。 係員に促されて、プールへと向かう。 スロープですれちがったのは、空のケージ。 ガックリと肩を落として台車を押す人。 その後ろを、大切そうにちぎれたウマの頭だけを抱えて、涙ぐむ人がつづいた。 オレたちは東側に陣取った。 二十五メートル先には、大きなケージ。 それを取り囲むパーカー軍団は、自信ありげに笑みを浮かべている。 会場がざわついているのは、オレたち側にケージがないからだろう。
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