第5話 許可

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「準備は・・・いいですか?」 係員が心配そうに聞いてくる。 梅田さんがオレに視線を向ける。 まったく、もう。 「いつでも、どうぞ」 オレの返答を聞いて、係員が旗を挙げた。 向かいの係員も旗で天井を指す。 二人がトランシーバーで交信して、息を合わせて同時に旗を振り下ろした。 「アンリーシュ!」 試合開始の合図だ。 相手側のケージが、勢いよく開かれる。 オレは、トートバッグの中からヤツの首根っこをつかんで、放り投げた。 ペタンという音とともに、地面に尻餅をついて着地する。 周囲をキョロキョロと見回し、四つん這いでオレの足に駆け寄ると、甘えん坊のように抱き付いた。 戦闘意欲、ゼロって感じ。 「こら、こっちじゃない。相手は向こうだ! 向こうへ行け!」 梅田さんが懸命に西側を指差しているが、ヤツは聞こうともしない。 会場のあちこちで、笑い声が漏れた。
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