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身体の震えが止まらない。
浅く激しい呼吸。
何も考えることができず、ただジッとそのままこたつに座っていた。
テレビでは、今年の紅白歌合戦出場歌手の予想をしている。
出場当確アイドルの代表曲が流れる。
キンキン声が、やたらと耳障りだった。
ただその合間に、背後から聞こえてきたのはもっと不快な音だった。
バスタブのプラスチックを、硬い物が引っ掻く音。
カリカリ・・・カリカリ・・・。
「何で死なねぇんだよぉ」
オレは血に染まった両手で、耳をふさいだ。
〈 つづく 〉
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