766人が本棚に入れています
本棚に追加
/325ページ
これは、どういう状況なんだ?
全然訳がわからない。
「いいぞ、いいぞ! そのまま行け! おまえは今度の大会で優勝するんだジュビリー号。こんなサル、秒殺してやれ!」
男は大興奮している。
すごい目つきで、大声をあげて。
オレはすっかり引いてしまっていた。
だけど、目の前でヤツが噛み殺される様を見せつけられるのは、複雑な心境だった。
この場合、オレはサルモドキを応援すべきなのだろうか。
「おい、どうした? 食っていいんだぞジュビリー号。ほら、何止まってる。食え、ジュビリー号、早く食えって!」
男の口調が変わって、オレも気づいた。
さっきからジュビリー号は、サルモドキを咥えてはいるものの、アゴは動いていない。
四肢はジッと芝生をとらえて動かない。
それは攻撃態勢ではなく、防御態勢に見えた。
自分の身体を支えるのに必死な様子。
まもなく、イヌの化け物は、頭を下げて地面に横倒しになった。
「どうした? おい、何があった?」
最初のコメントを投稿しよう!