第3話 解放

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オレには見えていた。 ジュビリー号の口の中に、サルモドキの手が突っ込まれているのを。 鉤爪はしっかりと喉の奥に食い込んでいた。 ジュビリー号は食うのをあきらめ、なんとか吐き出そうとしている。 だが、サルモドキの手は、容赦なく喉の奥へ入り込んでいった。 苦痛にのたうち回るイヌの化け物。 腹を見せて、もう降参の姿勢だ。 でも、サルモドキは攻撃の手を止めない。 素早く口から手を引き抜いたかと思うと、ジュビリー号の腹にまたがり、喉元に食らいついた。 「ああ、やめろ! もう勝負ありだ!」 男は、イヌとサルに近づいていくが、どうにも手が出せずまわりをウロウロするばかり。 「おい、キミも止めてやってくれ! ジュビリー号は大会に出場するんだ。ここで死んでもらっちゃ困る。どれだけ金をかけたと思ってるんだ!」 サルモドキは、イヌの化け物の喉を引きちぎり、嬉しそうに肉片を飲みこんだ。 そして腹部へと噛みつき、切り開かれた腹の中へ首を突っ込んだ。 こんな化け物を、オレにどうやって止めろっていうんだ?
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