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「負けだ。僕の負けだ。だからもう、やめてくれ。これ以上食わないでくれ・・・」
男の涙声。
イヌの化け物は仰向けのまま四肢を痙攣させている。
その腹部に首を突っ込んだままのサルモドキ。
喉の部分が大きく動いている。
大量に何かを飲みこんでいるのだ。
しばらくして、ゆっくりと首を持ち上げたヤツは、イヌの化け物の血で真っ赤に染まった顔を、オレの方に向ける。
その細い目は、満足の笑みを浮かべているようだった。
いったいぜんたい、オレは、今、何を見せられたんだろう?
〈 つづく 〉
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