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あれから毎日、『ドラゴン・ウインスペクター』を見張っている。
おかげで、だいたいの操作方法をマスターし、何度かドラゴン退治に出かけたこともある。
どうやら、ヒジリガーナは強いらしい。
どこのパーティーでも重宝された。
昨日は、新しい魔法を覚えて・・・。
いやいや、ゲームの話をしたいんじゃない。
妖精たちの萌える森付近でうろついていると、四日目にしてようやくフレンドと再会できた。
例の、ティアラさん。
真っ赤なドレスの少女だ。
向こうから話しかけてきて、再度会うことを約束した。
場所は、オレの部屋。
茶店でもモスでもよっかたけれど、あんな悪趣味な生き物の話、他人に聞かれたらマズいでしょ。
というわけで、目の前にはティアラさんがいる。
ベッドを椅子代わりにして、座っている。
すでに魔法は解けた状態。
すなわち、梅田哲郎、三十九歳。
腹の出張った、中年太りのオッサンだ。
わざわざ長岡で有名な、Parisパイのミルフィーユを手土産に持ってきてくれた。
立派な社会人だ。
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