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「どうぞ、どうぞ。今すぐ、お持ち帰りください」
背中のサルモドキをつかみ、差し出す。
ところが、梅田さんは、受け取ってはくれなかった。
首を横に振る。
「キミはまったく・・・ラバナスのインプリンティングも知らないんだな」
そんなに呆れられても、知らないものは知らない。
っていうか、インプリンティングって何さ?
「インプリンティングというのは、すりこみとも言われる習性のことだよ。鳥なんかで多く見られるもので、生まれた直後に見た動くものを親だと認識してしまうことさ」
ああ、それならテレビで見た覚えがある。
ガチョウの子供たちが、女性飼育員の後をゾロゾロとついていく映像は、記憶に残っている。
確か、動くおもちゃでも親として記憶してしまうんじゃなかったっけ。
ラバナスにもそんな習性があるのか。
「キミは、お兄さんに似ているってよく言われないかい?」
何でそんなこと知ってるんだ?
確かに、勉強の成績も運動神経も雲泥の差があったが、顔だけは瓜二つだった。
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