第4話 世界

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「どうぞ、どうぞ。今すぐ、お持ち帰りください」 背中のサルモドキをつかみ、差し出す。 ところが、梅田さんは、受け取ってはくれなかった。 首を横に振る。 「キミはまったく・・・ラバナスのインプリンティングも知らないんだな」 そんなに呆れられても、知らないものは知らない。 っていうか、インプリンティングって何さ? 「インプリンティングというのは、すりこみとも言われる習性のことだよ。鳥なんかで多く見られるもので、生まれた直後に見た動くものを親だと認識してしまうことさ」 ああ、それならテレビで見た覚えがある。 ガチョウの子供たちが、女性飼育員の後をゾロゾロとついていく映像は、記憶に残っている。 確か、動くおもちゃでも親として記憶してしまうんじゃなかったっけ。 ラバナスにもそんな習性があるのか。 「キミは、お兄さんに似ているってよく言われないかい?」 何でそんなこと知ってるんだ? 確かに、勉強の成績も運動神経も雲泥の差があったが、顔だけは瓜二つだった。
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