第4話 世界

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好恵の料理はやっぱり美味しい。 今夜のメニューはサバの味噌煮だった。 臭みがなく、とろっとろの味噌で、身の奥までしっかりと味がしみている。 こんなものを「今日はサバが安かったから」なんてササッと作られたら、たまったものじゃない。 コツは、霜降りと煮詰めるまえに冷ますことだという。 サバの味噌煮を、ご飯にバウンドさせて口へ運ぶ。 間髪入れずに、味噌のついたご飯をかき込む。 そんなオレの至高の瞬間を、彼女は嬉しそうに見つめていた。 「柿、食べるでしょ。今、皮剥いてあげる」 好恵はそう言って、エプロンの紐を結びなおしながらキッチンに立った。 「ごめんな、急に飯食わせてくれだなんて。次の給料日まで、ピンチでさ」 オレの突然の頼みに、彼女は快く夕飯を作ってくれた。 「何よ、別にいつだって言ってくれればご飯くらい作るわよ。明日はママのところで仕事だから、冷蔵庫に用意しておくわ。温めて食べてね」 オレはいつも、好恵に頼ってばかりだ。 本当はこんなに迷惑ばかりかけたくはない。 でも仕方がないんだ、来月の給料日までは。
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