第4話 世界

14/19
前へ
/325ページ
次へ
「ほんと、ごめんな。給料でたら、今月分の食費払うから。それと、飯おごるよ。どこか高いところへ食べに行こう」 好恵は、柿を剥きながら、背中越しで答える。 「お金なんか、いいよ。逆にお金なんかもらったら、家政婦みたいで、嫌。でも、外食には行きたいかな。たまには修治と雰囲気のいい店でデートしてみたい」 「わかった。じゃあ、めちゃくちゃ雰囲気のいい店、探しておく」 好恵は嬉しそうに、柿の乗った皿をテーブルに置いてくれた。 その柔らかい笑顔に、オレの心はしめ付けられた。 やっぱりオレは、好恵に救われている。 サルモドキの件がひと段落ついたら、きちんと定職をみつけよう。 生活力をつけて、クラブのバイトを辞めさせて、そして・・・そして。 「やっぱり好恵は、ドレスより、エプロンの方が似合うよ」 思わず口をついて出た台詞。 好恵は頬を膨らませて、不満げだ。 「何よ、それ。あたしにオシャレは似合わないっていうの?」 「違うよ、違う。ドレス姿もいいけど、できるなら毎日エプロン姿を見ていたいってことさ」 オレは心底、そう思っていた。 ちゃんと意味が伝わっているかな?
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

769人が本棚に入れています
本棚に追加