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「ほんと、ごめんな。給料でたら、今月分の食費払うから。それと、飯おごるよ。どこか高いところへ食べに行こう」
好恵は、柿を剥きながら、背中越しで答える。
「お金なんか、いいよ。逆にお金なんかもらったら、家政婦みたいで、嫌。でも、外食には行きたいかな。たまには修治と雰囲気のいい店でデートしてみたい」
「わかった。じゃあ、めちゃくちゃ雰囲気のいい店、探しておく」
好恵は嬉しそうに、柿の乗った皿をテーブルに置いてくれた。
その柔らかい笑顔に、オレの心はしめ付けられた。
やっぱりオレは、好恵に救われている。
サルモドキの件がひと段落ついたら、きちんと定職をみつけよう。
生活力をつけて、クラブのバイトを辞めさせて、そして・・・そして。
「やっぱり好恵は、ドレスより、エプロンの方が似合うよ」
思わず口をついて出た台詞。
好恵は頬を膨らませて、不満げだ。
「何よ、それ。あたしにオシャレは似合わないっていうの?」
「違うよ、違う。ドレス姿もいいけど、できるなら毎日エプロン姿を見ていたいってことさ」
オレは心底、そう思っていた。
ちゃんと意味が伝わっているかな?
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