769人が本棚に入れています
本棚に追加
好恵は無言でテーブルの空いた食器を下げると、キッチンで洗い始めた。
なんか微妙な沈黙がしばらくつづく。
水道の流れる音が止んで、やおら彼女がつぶやいた。
「・・・毎日見てたら、あきるかもよ」
オレは最後の柿を食べ終え、皿をキッチンに持っていく。
彼女の背後か腕を回して、一緒に皿を洗った。
「もし、あきたら・・・新しいエプロンを買えばいいさ」
そのまま彼女を抱き上げ、ベッドへ連れて行った。
互いに慌てるように服を脱ぎ、強く抱き合う。
オレは好恵の滑らかな肌に唇を添わせた。
首筋から肩、腕へ。
肘の内側に、ポツリと赤い吹き出物みたいなものが三つもあった。
それに気付いた彼女が微笑んだ。
「真冬なのに蚊に刺されるって、おかしいよね」
「それだけ、好恵の血が美味しいんだろ。オレも、味見」
腕に吸い付くオレを、彼女が笑ってたしなめる。
「こら、駄目だって。くすぐったい」
笑顔は、二人の快楽をいや増した。
※ ※ ※ ※ ※
最初のコメントを投稿しよう!