262人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
「俺は、ひまりちゃんと過ごす時間が続けばいいなって思ってる。時は戻せないけど、俺は俺なりに受け入れて、ちゃんと向きあうって決めた。小早川のことが好きだったひまりちゃんの気持ちだって、大切な1つの出来事だって思えるよ」
周りに打ち明けずに1人で心の傷を背負い、それが自分のせいだと思ったこともある。やり場のない悲しみや寂しさを知ったり、間違った選択をしてもちゃんと自分と向き合ってきた。
自分が歩いてきた毎日を、伊月はようやく許せるようになった。家族とのすれ違いはまだ解決しないけれど、父親に伝えておきたいことはある。
「伊月くんが過ごしてきた今までも、いつかいい思い出になるといいね」
精悍な顔つきでこれからの毎日を見つめる伊月を信じていきたいと、ひまりは思った。
「これから、ひまりちゃんが俺といてくれるなら、きっと幸せにする」
伊月は照れながらもひまりを真っ直ぐ見つめて、ようやく伝えられた想いを言葉にした。
今まで味わったことのない温もりで、心が染まっていった。
最初のコメントを投稿しよう!