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「あのねっ」
「ん、なに?」
少しだけ首を傾げ、伊月はひまりの言葉を待っている。
「伊月くんが、どうしたら笑ってくれるのか考えちゃうの。でも全然思い浮かばなくて……伊月くんが言ってくれたことも、自分の気持ちも信じたいのに、2人とも笑っていたいのに」
笑顔を向けられたら、またドキドキして胸の奥が苦しくなる。だけど、伊月はそんなことを知る由もなく、思いきり笑っている。
(好きって、止められないんだ――)
伊月への想いが、弾けるように飛び跳ねる。
指先まで冷たくなって、キュッとした痛みが駆け巡るけれど、ひまりは真っ直ぐに伊月を見つめ返した。
「私ね、伊月くんが好き。もっと一緒にいたい」
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