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 ぷしゅーっと音を立てて電車のドアが開き、少しすると聞き慣れた発車ベルが鳴り響いて、ひまりを急かす。 「ごめんっ、それだけだからっ!」  伊月に背を向けるとひまりは慌てて電車を下り、ホームに立った。  告げた想いは、後になって鼓動を打つ。ぎゅっと俯いてまぶたを閉じていると、車掌のアナウンスが流れてきた。 (タイミング、最悪……)  電車がなかなか動き出さず、ひまりが目を開けるとつま先が並んでいて、顔を跳ね上げた。
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