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+*一銭五厘*+
淡い気持ちを抱く頃
ともに刻む時はなくなった
歩む道は別となり
話をすることすらもままならず
遠いあの日に思いを馳せる
御国のためにと刷り込まれ
我にもその日が来るだろう
その日が来ることを……
一億玉砕火の玉だ!
乱れ舞い踊る言葉に煽られ
口には出せぬ
発せば罪
その日が突然訪れて
血で染まった葉書が届く
貴女は静かに立ち上がり
街頭に立ち 声をあげる
道行く女性へ 声をあげる
我がために妹の力[イモノチカラ]を集め
寅の女性の力を借りる
多くの母は 妻は 妹[イモ]達は
虎の言い伝えを信じ
ただ静かに 虎に願いを託す
千里を行き 千里を帰る
声高に言えぬ 祈りの気持ち
ただ静かに 虎に気持ちを託す
万歳 万歳……
万歳 万歳……
あの日見た 無数の手の中心に
今は我が立っている
酔いそうな空気の中で
それでも我の足を踏ん張る
貴女は昨夜 かぼそき声をふりしぼり
我に小さくこう言った
“死んじゃあ なんねえぞ”
声高に言えぬ 祈りの気持ち
“生きろ
生きてけえってくれろ”
ただ静かに 虎に気持ちを託す
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