壱
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壱
貴子は行き場を失い、 気がついたら実家の前に立っていた。 もう21時を回っていて、 店は閉まり、辺りも静まり返っている。 その扉に手を掛ければ、迎えてくれる家族がいる。 何事かと騒がれても、貴子が泣き出せば 兄がきっとなんとかしてくれる。 そう・・・、いつも通りに貴子を守ってくれる。
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