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あの時……。
俺を押さえつけながら……手酷く乱暴に扱いながら、それでも壊れ物に触れるかのように優しいキスをしたリアム。
切なそうな、悲しげな表情。
震えていた手……。
その全ての意味が、ようやく分かった。
「俺、お前を、そんなにも追い詰めてるなんて知らなくて……そんなに想ってくれてるなんて知らなくて……知らなかったとはいえ、ごめん。お前を傷付けるつもりなんてなかった」
「そんな…!ひなたは、何も悪くないよ!俺が、勝手に勘違いして、傷付いて……最低な事して………だから、ひなたは謝らないで」
慌てて否定したリアムは、自身のした事が許せないのか、辛そうに、それでも俺に気にするなと言いたいのか、眉をハの字にして苦笑する。
「いや、けどよ…」
「でも…でも、いい加減な気持ちで、あんな事をした訳じゃない。軽い気持ちなんかで、ひなたに触れたんじゃない。それは……それだけは、ひなたに分かって欲しいんだ」
俺の言葉を遮ったリアムは、真剣で、切望するような目で俺をジッと見つめてくる。
その目を見れば、リアムの真剣さが伝わって来る。
リアムが、そんないい加減な奴じゃない事も知っているつもりだ。
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