第1章

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僕はメールを信じ、それから毎日を精一杯生きた。 あれから9年が経つ。今のところ死の兆候は現れていない。 あのメールは、普通に考えれば不幸のメール以外の何ものでもなかった。それでも僕にとっては幸福のメールとなった。僕はメールをプリントアウトし、肌身離さず持ち歩いた。それは僕の生きる支えとなり、指針となった。僕は10年後に死ぬことを前提に生きざるを得なかった。そのことは僕の人生を劇的に変えた。 僕はA子と結婚し、2人の子をもうけた。 メールのことは、A子にも子供にも教えていない。
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