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思考まで焼き尽くすような日差しに、机へ突っ伏して目を閉じた。鉄の机の冷たさが心地いい。
額から流れる汗は止まること無く、机の上に水溜まりを作る勢いだ。
「ねぇ、だらしないですの」
机の下から聞こえる甲高い少女の声に生返事を返す。机の下をみるという行為さえもだるく、茶色い机の上に垂れていく滴をただ眺めていた。
「ダート、だれてはなりませんの。まぁ、仕事が暫く無いために、金がないですもの。ですけれど、このままですと冷房なしの宿さえとれず、野宿ですわ」
いつのまにか机の上に真っ白で耳の大きなキツネが乗り、赤い瞳で俺の顔を覗いていた。目に映る顔は心配しているというよりもむしろ、にやけた笑いが浮かぶ顔だった。
性格悪い。そんなことを口にはしないけれど、思う都度に黒い闇が頭を支配しそうになる。慌てて体を起こし、頭を降った。
「フレア、諦めろ。依頼はこない」
「ダート、旅にはお金が必要と聞きましたわ?」
「俺の前の生活、分かってる?金なくったって生きていける」
キツネのフレアはため息をついた。首を捻って、怪訝な視線を向けると、フレアはもうひとつため息をつく。
「お金ないと色々不便でございますわ。前、お金無くて追い出された国あると仰ってませぬか?あ、あと、服とかを買っていただきたいものです」
よく話すもんだ。顔を濡らした汗を腕で拭う。余計に濡れて気持ち悪さが半端じゃなかった。仕方なく床に転がしたリュックの中からタオルを出す。
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