深夜の正丸峠

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震えが止まらなかった 「第6コーナーにあいつの車の塗装がついてるぜ?疑問に思うなら行ってみろよ」 と言われたので 自分の車(セダン)に乗り込み かっ飛ばして正丸の第6コーナーへ向かった 嘘だ! あいつが死ぬはずない 第6コーナーにつき 周りを見渡した 「あ…」 ひしゃげ、ちぎれたガードレールにパープルラメの塗装がこびり着き パーツが散華していた それは昨日なかった光景 散華していたパーツは先月からあるとは思えないくらい生々しく、また矛盾のように所々錆び付いていた もう…認めざるをえない あいつの車はパープルラメのR32 あいつの車をチューニングしたのは僕だ もっと頑丈に作っていれば こんなことにはならなかったんだ 刹那 強風が吹いた 風の音にまじって 「さようなら」 と聞こえた 僕は泣くことしか出来なかった ただ泣き続けた どれくらいだったのだろう 10分かも知れないし1時間泣いてたかも知れない ショップに帰った頃には泣きつかれて酷い眠気に襲われた 僕の組んだR32は廃車になり 友人は帰らぬ人となった ただその現実が辛くて仕方なかった その後僕はショップを廃業して 埼玉を離れ 現在は東京で土木業をしている 当分埼玉には帰れないだろう 1年か2年 もしくは二度と帰らないかも知れない いまだにあの事が吹っ切れていないんだ だから 吹っ切れたら 埼玉に帰って 墓参りをして、あいつに言ってやるんだ 「ただいま」 ってね
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