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玄関を出たところで見知った眼鏡くんがいた。俺の親友、斎藤千賀。こいつが俺をライトノベル作家にしてくれた張本人なんです。
「チカ、お待たせ」
「ん」
すげえ眠そう。
「お前また徹夜で本読んでたろ」
「まあ、ね」
欠伸をかみ殺すチカに苦笑する。
チカは昔から本の虫だった。純文学はもちろん、エッセイ、詩、あらゆる方面の本を読む。こんな顔してライトノベルだって読むことはある。
「今日は何読んだの?」
「うーん、女と男が共犯者な話」
「うわー全然ピンとこない」
でも不思議とチカの面白いと思った話は間違いがない。だから俺もその気になってしまったわけだ。
「ムツ、昨日瀬川に告白された」
「は!?まじぃ!?瀬川って図書委員の??」
「そう、声でかい」
「あっごめん、で!どうしたのよ」
「僕の優先順位について話したら諦めた」
「あはは~」
チカは何故かモテる。
本の王子様って言われてる。
俺からしたらこんな変わり者やめた方がいいぞといいたいところだけど。
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