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そのまま何事もなく通り過ぎようと思っていたのに俺はグイッと腕を掴まれ、引き寄せられてしまった。
誰にって?そんなもん彼以外いないじゃん。
「や、山田。本当はオレ一人で待ってるつもりだったんだ。お、おはよう」
「お、おはよ」
やばい、緊張してんのか顔赤くなってる菅くん。
うわー何この見た目とのギャップ。俺が女だったらちょっと好きになってるかも。なんちゃって。
「もしかして俺のこと待ってたの?」
「…お前に、早く会いたくて、わりい」
照れ臭そうに頭を掻く菅くんに俺はちょっとだけ戸惑った。まるで恋してるみたいな菅くんにどう接してやればよいのやら。
そして何より俺は気付いてしまった。背中に感じる視線に。
「ムツ、早く」
「お、おう!じゃあまた教室で」
「引き止めて悪かった。その…後で頼みがあんだけど」
「なに?」
「その、サイン貰っていい?」
あーそういえば渡してなかった。
俺はそれに頷いてそそくさとチカの隣に戻った。でも少しだけ菅くんが気になって後ろを向くと、何やら菅くんの周りに不良が集まっていた。
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