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私は卒倒した。差出人の名前には『アキラ』とはっきり書いてあった。何度も目をこすったが、間違いではない。小躍りしたくなる気持ちを抑え、メールを開く。
タイトルには『サツキ!!』とだけあった。急いで本文へ。そこにはこう書かれていた。
『助けてくれ!
変な奴が家の周りをうろついてる』
驚いた。色々な意味で。
今までの彼の言動を思い返して、そして私はある結論を弾き出した。
つまりアキラは何者かに以前から付きまとわれていた。だから、「もう一緒にはいられない」なんて言い方をしたんだ。
別れたのは彼の本心ではなかったということが判明し、私の頬に涙が伝った。まぎれもなくうれし涙だ。でも……。
そうであるなら、なおさら彼を救わなければという使命感のようなものもふつふつとわき出てきた。彼は一度は別れた私を頼ったのだから。彼へのメールを打って、私は支度を始める。とにかく、あの家に行かないと。
実害がなければ、警察もなかなか動いてはくれない。だから、私が彼を助けなければならないのだ。私は降りしきる雨の中、アパートを飛び出していた。
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