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◇
僕が携帯のメールに気付いて数十分が経過した。依然、メールは止まなかった。一度、止んだ雨がまた降り始めた。
メールの差出人は、いずれも松元 サツキという女からだった。
『アキラ、いま助けるから』
『待ってて、アキラ』
『絶対に外へ出ては駄目よ』
まったくモテる男は辛いものだ。
僕は、ソファに突っ伏して動くことはない中川 アキラの亡骸を眺めてそう思った。
人が恐怖におののく様が見たくて、中川 アキラをつけ回し始めたのが丁度、一ヶ月前。僕は毎日のように行く先々で彼の後を追い回した。
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