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月並みな理由になってしまうけれど、別に誰でも良かった。ただ、中川 アキラの何も出来ずに逃げ惑う姿を見るのが楽しかったのだ。
でも、それも時間の経過と共につまらない作業になっていった。
だから、終わりにしようと思った。二階の窓からガラスを破って侵入し、コーヒーを飲んでくつろいでいた彼の前へと姿を現した。
僕の顔を見ると、彼は一連のストーカーの犯人だと直感したらしく反撃に転じた。ゴルフグラブを握りしめたのだ。でも、残念だけど彼はそうやってみたものの、そこから動く勇気なんて持ち合わせていないらしかった。だって、それを振り下ろすと僕は死んじゃうから。
「どうする気?」
僕は彼にそう問いかけた。彼は打ち震え黙り込むばかりだった。まるで人形みたいに。反応がないとつまらない。彼はその瞬間、僕を楽しませてくれる一人ではなくなっていたんだ。
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