恋は時に甘く時にほろ苦く

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「……頭、痛い……」 目を覚ますと 同時に強烈な頭痛が私を襲う。 ゆっくりと ベットから起き上がれば なぜかスーツの 上着をギュッと握りしめていて。 「えっと……」 「お前。それ、ちゃんとアイロンかけろよ。」 「か、課長っ、な、なんで!?」 スーツから 声の方へと視線をうつせば 寝室のドアに 寄りかかるようにして 腕を組み 私を見ていた課長と視線があった。 「……なんでって、お前、昨日のこと覚えてないのか?」 「昨日のこと……?」 そう言われて 昨日の記憶を呼び覚ます。 思い出せば 思い出すほどに 私の身体からは 嫌な汗が次々とにじみ出てきて 「……おい。なに、隠れてんだよ……」 私はとっさに 布団の中へと隠れた。 まだ 気持ちの 整理もついてないのに こんな状態で 課長に顔向けなんて出来ない……。 「日頃、酒を飲まない奴があれだけ酒を飲んだんだ。こうなることは、なんとなく想像はついてた。」 「……すいません、色々と迷惑を。」 「家へ連れて帰ってベットへ寝かせようとしても、お前、俺のスーツを握り締めて離そうとしないし。」 「え?」 じゃあ昨日 夢だと思っていたのは 夢じゃなくて現実だったの……? 「……そんなことより、いつまで隠れてるつもり?」 「……」 「昨日から、お前が隠れてばっかで話はおろか、お前の顔すらよく見てないんだけど。いい加減、お前の顔、見せてくんない?」 急に 甘い声へと変わり ギシッと ベットが軋む音とともに すぐ近くに課長の気配を感じた。 「……今は無理です。」 「なんで?」 「だ、だって今、混乱してて、ぐちゃくちゃでこんな状況で課長に顔向け出来ません。」 .
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