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気配は明らかに真後ろだ。
私は冷や汗がだらだら落ちるのを感じながらも、後ろを振り向けないでいた。
見たら取り返しのつかない事になるような恐怖が胃からせり出してくる。
『分かった。分かったよA子。多分、その事を○○ちゃんに話したら許してくれるかもしれない』
そう声がすると、背後の気配は何故かふと消え去った。
いつの間にか切れたらしく、電話の表示は通話終了になっている。
私はそのまま、数分、あるいは数時間かもしれないが、その場でずっと固まっていた。
自分の心臓の鼓動が耳に付くようなぐらい静かになってから、私はゆっくりと背後を振り返る。
目の前の窓はいつの間にか開いており、窓にはべったりと血で作られた手形が張りついていた。
私は胃が逆流するような苦しみが溢れ出し、嘔吐しながら気をうしなった。
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