第1章 龍 族

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「龍族」とは‥‥。 龍族とはもともと、 紀元前の大昔、 5次元の銀河系宇宙からやってきた 光の存在たちで、肉体を持たず、 地球という星が立派に成長するための、 応援および救助の任務をまかされた一団であった。  彼らは高い精神性、知識、文明を持ち 崇高な魂を持ちながら、この地上で 次々と人間として肉体を得て、 世界中に散らばり、文明を開花させてきた。 彼らの目的はひとつ。 地球の発展と、人の魂の成長を助けるというもの。 その中に、天文学をつかさどる集団がいた。 彼らは、高台に月と太陽を観測するための塔を建て、 星を読み、さまざまな宇宙の理(ことわり) を人々に教えた。 ある時は、月と太陽からメッセージを受け取り それを人々に伝え、 ある時は、人々の心の闇を浄化し、 魂の成長を助け、そのことを生業としていた。 その兄弟姉妹は皆、高台で暮らしていた。 ところがある時、 彼らは取り返しのつかない過ちを犯したのだ。 月と太陽がピタリと重なる特別な晩、 それを人々に良い知らせとして伝えた。 「浜辺へ出て祝福せよ」と‥‥。 人々は特別な夜を、祝福するため浜辺に出た。 百年に一度の天体ショー。 だが、 月と太陽は海面をありえないほど持ち上げ、 大潮と嵐が一度にやってきた。 そして人々は皆、水の底に沈んでしまったのだ。 高台に建った塔と、 そこに暮らす一族だけを残して‥‥。 その日から彼らは過ちを償うため、 必死で誰かのために生きることを誓った。 人を救うことのできる力を望んでどこまでも、 力を望んで兄弟らは、ひとりまたひとりと 龍に生まれ変わることができた。
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