第1章 龍 族

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さらに兄弟たちは高みを目指して、 龍神にまで昇りつめることができた。 そして龍神は、 多くの人々を笑顔にするため力を尽くしたのだ。 やがて役目を終えた龍神は、 再び人間として転生し 自らの幸せのため、誰かの幸せのため 修行を続ける一族となるのである。 龍神であった祖先が、人間へと転生し始めた頃、 人間へと転身した龍族はその命をねらわれた。 なぜなら、龍神の生き血をなめると 不老不死になり、特殊な能力が目覚めると 信じられていたためである。 龍神の生き血など到底手に入るはずもないのだが、 龍神の血を受け継いだ人間となると たやすく接触が可能であるため、 老若男女を問わず命を狙われた。 人間になりたての龍神の肩甲骨の中央には、 ほんの小さな羽根が生えていた。 羽根といっても、コウモリのようなものではなく、 ちょうど肩甲骨の中央にきちんと収まり、 折りたたまれる小鳥のような羽根だ。 それは、飛ぶためのものではなく、 前世、龍神あった証であり、 のちに「龍族狩り」をする輩(やから)の 目印となっていた。
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