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「そりゃあ随分と、ネガティブな考え方ですね。まるでそれじゃあ、生きていることを否定しているかのようだ」
「ようだじゃなくて、否定しているんです。時に、貴方は人間が、或いは何でも構いません、実態を持った何かが死に始めるのはいつからだと思いますか?」
「死の病を患ったり、大きな怪我を負ったりした時……からですか?」
「違います。だって貴方は、病気や怪我が全く邪魔をしなくても、いつかは寿命で死ぬでしょう」
そこまで言うと、人形は突然、ワイシャツの中に手を潜り込ませた。
そして、何度か手首を捻る。歯車の回る音。螺子を巻いているのだ。
「私たちは生まれたその瞬間から、死に始めているんですよ」
「貴方は、生まれたというより、作られたでしょう」
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