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僕はどうにか反論してやろうと、言葉を探す。
そうしなければ、僕の中に残る人間として大切な何かの最後のひと欠片を、失くしてしまいそうだった。
「でも、産んでもらえなければ、僕らは息もできなかった」
「私は今だって出来ませんけどね。それでもまあ、生きてはいられるし、死ぬこともできる」
そう言って、人形はもう一度螺子を巻いた。
キリキリと、細かく刻むような音が静かな車内に響き渡る。
そうしなければ、喋ることもできないのだ。
「私はね、なんだか最近、死ぬということがどういうことなのかが、わかった気がするんです」
「そんなもん、死んでもないのにわかるはずが無いでしょう」
「どうでしょう?私はこんな体ですし、もしかするともう死んでいるかも知れませんよ?」
「貴方の言っていることは、滅茶苦茶だ」
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