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「死にたく、ない」
それが人形の最後の言葉だった。
ぱりんと、薄いガラスが割れる音がして、甲高く、地面にぶつかって、砕ける。
頭の天辺から、もうもうと黒い煙が吹き出していて。
焦げ臭さが僕の鼻孔にも届いて、ああ、終わったんだなと、僕は。
僕は、
僕は?
僕はどうなるのだろうか。
人形が一つ壊れたところで、僕はまだ死んでない。
どうして、
どうして、死んでないんだ?
電車はゆっくりと、降下し始める。
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