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埃の溜まった窓枠をなぞりながら、君は退屈そうだ。
僕は大きく息を吸った。空気は澄んでいなかったようで、何度も味わったことがある苦味が口内に広がる。
「いつ死んでもいいんだ、もう」
いつの間にか、僕はそう口にしていた。
理由があった訳じゃない。ただ何となく、全部を話してもいいと思ったのだ。
「悔いはない。いや、むしろ悔いしかない。僕が僕で生まれたことが、まず最初の後悔で、それ以降の全ての後悔だ」
いつだって自分に問うている。
「僕は僕でよかったのか?」
そしてそれをいつだって否定しながら、僕はまだ、息をしている。
「いつ死んでもいいなら、寿命で死ねばいいじゃない」
彼女は他人事のようだった。
そして正しく他人事だった。
「それじゃあ、この腐った拷問の続きが、あと何年あるかわかった物じゃないだろ」
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