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染み込んで、この朽ちた車体と一体に。
或いはもしかすると、それがお似合いなのかもしれない。
何の役にも立たない廃棄物の山の上に放置されたこれは、まるで僕の人生のようだ。
「僕は死ねるよ」
それを認めたくなくて、抵抗する。
「僕は人間だから。人間は皆、死にたがっているんだ」
「でも、死ぬときは一人でしょ?」
「そうだな、よく、そう言うし」
「でもここには私がいるよ?」
「だから?」
それが死なない理由にはならない。
僕が死んでも彼女は死なない。さらに言えば、同じところに行けるとも限らない。
天国も地獄も、ありはしないのだから。
きっと各々、いやに暗く寂しい、何にも聞こえない部屋の中に閉じ込められるのだろう。
やがて何も、感じなくなるまで。
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