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僕は手足を放り出し、だらしなく凭れかかる。
放棄するかのように。
待機する。
「何がわからないのかもわからないんだ。わからなくなっちまった」
いつからか。
いつからだ?
幼い頃の僕は、もっと真っ直ぐだった。
真っ当だった。
後ろ指を指されるような存在ではなかったし、自分を悔いたりもしない。
ましてや、こんなところに来ることもない、なかった――ハズなのだ。
いくつもあった人生の曲がり角、その一つを、間違えてしまったのだろうか。
「ふうん、それで、いいの?」
「いいの?って、何が」
「だから、諦めて」
「………………」
何も、言えない。
例えば、もっと空虚な虚勢を張ることも、もっと乱暴な言葉で払い除けることも、
できる、はずなのに。
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